投資には3種類ある
前回の繰り返しです。
世の投資は次の三つに分類できます
- プラスサムゲーム: 例えば「長期投資」
- ゼロサムゲーム: 例えば「預金、FX、短期投資」
- マイナスサムゲーム: 例えば「ギャンブル、競馬、パチンコ、toto、宝くじ」
前の記事では「プラスサムゲーム」のお話をしました。
この記事では「ゼロサムゲーム:例えば"預金、FX、短期投資"」をお話しします。
ちなみに、この記事を読んでいる社会人の方はまず間違いなくこのゼロサムゲームに既に参加しています。
学生さんもアルバイトをしていたらゼロサムゲームに参加してます。
ゼロサムゲームって何?
ゲームの後に参加者全員の得点を足すと0になるゲームです。
・・・なんだかよくわかりませんね?
少し例を挙げましょう。
将棋はゼロサムゲーム
例えば将棋はゼロサムゲームです。
・・・???
将棋は二人で指しますが、どちらかが勝ち・どちらかが負けます。うるさく言うと他にも言えますが、細かいことはちょっと横に置いておきます。
将棋ではどちらも勝ちという事はないです。どちらも負けもないです。勝った人の相手の人はは必ず負けです。ゲームの後、勝った人が一人いる分、負けた人が一人います。合算すれば0人です。
もう少し他の考え方をしてみましょう。数字にしてみます。
将棋の勝った方を1点、負けた方を-1点とします。そうするとゲームが終わった時に全員の点数を合計すると0点です。(全員と言っても将棋は二人だけではありますが)
何度ゲームをしてもゲームの後の合計の点数は絶対に0点です。時々合計が2点(二人とも勝ち)になったり、時々合計が-2点(二人とも負け)になったりしません。
互いに散々頑張っても二人での合計点数は0点!
二人で頭に血を登らせて喧々囂々やった挙句に何も生産してません。プロなら観戦者も居るのでまだ分かりますが、ほとんど人の将棋の対局は世の中の役に立ってません。不毛です。時間を消費しただけです!
・・・おっと。
将棋をディスってしまいましたがほんのジョークです。私はそこそこ将棋好きです。段持ちで「向かいのビルの窓が将棋盤に見えるよ。駒が勝手に動き出したよ」というくらい本気で勉強してた時期もあります。今もボチボチ楽しんでます。
ゼロサムゲームとは何か
話をゼロサムゲームに戻しましょう。
将棋のように、誰が何かを得ると(将棋では1勝)反対側でその分だけ誰かが損してる(将棋では1敗)ゲーム、このようなものをゼロサムゲームと呼びます。
ゼロ(0)、サム(SUM・合計)、ゲーム です。
ゼロサムゲームは1対1だけではありません。複数人のゲームでも、参加者の結果の合計が0になるものはゼロサムゲームと呼ばれます。
また、点数は1と-1だけでもありません。いろいろな数字がでても全員の結果の合計が0になるのが決まっていればゼロサムゲームと呼ばれます。
例えばゼロサムゲームはこんな結果を出します。
ホニャララさん:+200点
オッペケペーさん:-130点
アッチョンブリけさん:-70点
勝った負けたはありますが、三人を合計すると200 - 130 -70 = 0点です。
何のゲームだかはおいといて、結果が例えばこの三人のようになる。誰かが勝って誰かが負けるけど、とにかく参加者の点数の合計は必ず0になる。
こんなゲームをゼロサムゲームと呼びます。
・・・面倒くさいですか?
でもゼロサムゲームって言葉は結構な頻度で見かけます。多分そこそこ重要な言葉なのでこの機に覚えてみて下さい。
ゼロサムゲームの投資
さて投資の世界でもゼロサムゲームは色々あります。
というか、結構な投資がゼロサムゲームです。
例えばFXです。
FXはゼロサムゲーム
FXは誰かが買った分、その反対側で誰かが売っています。画面の向こう側なので分かりませんが、あなたが買えたのは誰かが売ってたからです。
ふむ、これだけではよくわかりませんね。
では2回売買をしてみましょう。
あなたが売り買いをして1000円得をしたとします。そうすると画面の向こう側でだれかが1000円損をしてます。・・・売買の相手は一人ではなく複数人の場合が殆どでしょう。そうするとこんどはこうなります。あなたが1000円得した分、誰かが600円、誰かが400円損してます。
FXは、参加してる人の中でグルグルお金を回しあってるのですから(かなーり人数は多いです)誰かが得した分、きっちり同額だれかが損しています。
という事は、ゲームの後の全員の上下の金額、儲けた額と損した額を合計すると0円になりますよね?
ですのでFXはゼロサムゲームです。
ゼロサームゲームだという事は、強い人が勝った額の分、反対側に弱い人がきっちり同額負けています。
相手が弱い事を祈りましょう。
短期投資、例えばデイトレードはゼロサムゲーム
では株の話にしてみましょう。
短期トレードの例としてデイトレードを挙げます。
1日のうちに株を何度も買ったり売ったりして、勝った額と売った額の差額で儲けを得ようというのがデイトレードです。
例えばこんな感じです。
朝に△◆商社の株を200円(×沢山)で買った
昼頃その△◆商社の株を210円(×沢山)で売った
1回の売買で210円 - 200円 = 10円 得しました。たった10円でも株の数が多ければ掛け算です。例えばこれを1000株でやってれば 210万円 - 200万円 = 10万円 得します。10万円!この売買のためにやったことはスマホの画面をポチポチしただけです。皿洗いのバイトも牛丼を作るバイトもしてません。ホクホクですね(ちなみに私は牛丼好きですよ)
しかも株の売買には一日一回なんて決まりはありません。一日に何回でも売買できます。売り買いして儲かった回数分ホクホクホクホクです。しかも世の中には信用取引と言うものがありまして、信用取引を利用するとなんと自分の持っているお金以上に買えます・売れます。元手が多ければ多いほどホクホクホクホクホクホクです。
でもこれ、ゼロサムゲームです。
もし、あなたが1000円得したら、画面の向こうでだれかが合計1000円損してます。
だって、株の売買ってそういう事ですよね?株を買うのって「だれかの持ってる株を私にちょっと持たせて」って事ですし、株を売るのって「私の持ってる株、ちょっと渡すわ」です。これを複数人でグルグル回してるだけです。これを多くの種類の株で大勢でやってるわけです。株と言うタライを押し付けあってグルグル回してるだけです。この株と言う名のタライになんだかみんなで思い思いに値段を付けあってる訳です。
これは誰かが得してる分、きっちり誰かが損してます。
さて。
この株のゼロサムゲーム、普通の人が参加して勝てるのでしょうか?
多分「初心者でもデイトレードで勝つ!」等の本を参考に個人も買ったり売ったりするのでしょう。
でもその本の内容、以前から株式の売買しているプロにとっては常識です。見えませんが、画面の向こうにはそんなプロがゴロゴロいます。そんな本はとっくに卒業した古来のプロを自分だけは出し抜けますかね?プロは毎日株の事ばかり考えて何十年と勉強を続けています。株の研究家です。このいわば株の学者に対して、こちらの武器は書店に普通に並んでる本で勝てますかね?百戦錬磨のプロを出し抜けるのでしょうかね?
最近はAIも取引に参加しています。磨き抜かれたプロ中のプロの技を叩き込まれたAIが疲れを知らずケアレスミスも全くせずに我々の相手をしてくれます。このAIを相手に、本屋で平積みされてた「デイトレードで勝てるテクニックはこれだ!」で対抗できるのでしょうか?
私は結構難しいのではないかなぁと思います。
それもあり、私自身はこのデイトレードというゼロサムゲームをプレイする気は全然ないです。
でも「画面の向こうの相手はプロ中のプロである場合が結構ある」と認識したうえで取引をするのはいいのかもしれません。
預金はゼロサムゲーム
銀行への預金も実は投資です。
預金は銀行にお金を貸してるのです。
貸してるので銀行も預金に利息を付けてくれます。
ちなみに・・・。銀行は預金と言う形で我々から借りたお金を、そのまま他の人に貸したり、どこかに投資したりして利益を得ています。預金を他の場所に投資して我々に払う利息以上の利益を得ています(今は色々結構難しいそうですが・・・)
銀行は我々が預けた預金を馬鹿正直にそのまま保管したりはしてないのです。
もちろん銀行も、我々がいつ「引き出したい」「送金したい」と言うかわかりませんので、全部横流ししたりはせずにある程度は残しておいて準備してます。
でも、銀行がつけてくれる利息は、例えば「年0.001%」です。
ええええぇぇぇぇぇ
1万円を1年(銀行に)貸しておいて10円!
・・・気を取り直して考えてみましょう。我々の立場で考えると減る事はなく10円は確実に増えるので前の記事で書いたプラスサムでしょうか?
でも、100万円を1年(銀行に)貸していても利息は1000円です。
何回かに分けて下ろしたり送金したら1000円の利息なんてなくなっちゃいます。
こんなのプラスサムと言えねーよ!
という事で預金もゼロサムゲームに入れてしまいます。
預金は金融商品
また、預金の説明を探すと「預金は金融商品」とちゃんと書いてあります。
預金はただ預けているだけでなく「金融商品を買っているのです」
金融商品を買ってますので預金は投資です。
ただ、投資ですがすんごく安全性の高い投資です。数字は絶対に減りませんから。
預金が「投資」ならば
預金は投資です。
そう考えると、投資に対する敷居は色々低くなるかと思います。
例えば次のような方がいたとします。
「私は500万円の貯金があるぞ」
貯金というと、銀行に預金してるのでしょうね。そうすると以下と同じ意味です。
「私は500万円『預金』に投資してるぞ」
ふーむ。その預金と言う投資先、自分で考えて選びましたかね?
もしよろしければ預金以外の他の投資先を調べるとか考えるのはいかがでしょう?
・・・煽ってみましたが「調べる・考える」のは結構時間がかかりますし、預金以外の投資はリスクがあるというか・・・分かりやすく言えば数字が減る可能性が出ますので「調べない、預金にほっとく」というのも立派な選択です。
ちなみに、もちろん私は「インデックス投資を調べるのはどう?」と言ってるわけです。
預金はゼロサム「ゲーム」?
(この節は読まずに飛ばして大丈夫です)
預金はゲームに参加なんかしてないですよね。預金の数字って、ずーーーと変わりませんし。
しかしですね、銀行への預金も大きな視点で見ると実は結構価値が上下してる投資先なのです。
と言うのも、預金って円だけではないです。例えばドルでも預金できます。目を世界に向けますと預金する場所は円だけではないのです。
そしてニュースで毎日毎日毎度毎度やっている通り、ドルと円ってちょろちょろレートが動いてます。「1ドルxxx.x円」と言ってます。「今、xxx.x円に変わりました」なんて実況中継する事もあります。
このように、ドルとの比較でみると円の価値ってちょろちょろ上下に動いてるのです。
預金は数字は確かに動きませんが「この預金は何ドルに変換できるのだろうか?」との目で見ると、預金の価値は見えないところでちょろちょろ動いてます。数字は変わらないまま価値はちょろちょろ動いてるのです。
ですので、ドルが上がった(つまり円安)とのニュースが出たら「ドル預金しておけばよかったぁ」となります。
同じニュースをドル預金している人が見ると「へっへっへっ、ドル預金しておいてよかった。ご馳走様」となります。
儲ける人がいて反対側に損する人もいる。これは株のような投資と変わらんです。ニュースのドル円相場を見ての通り、意外と上下してます。この上下の分だけ"円預金”の価値も上下しています。結構上下してますよねー。
預金ってこんな”に上下する投資なのに預金してる人々がいちいち毎日血眼になってドル円レートを追いかけないのは、気が付いてないとか気にしてないとか無視してるだけです。
なんか否定的に書いてしまいましたが、気にしないとか無視するのはごく普通の対応です。私も普段気にしてません。いちいち細かく気にしていたらぐっすり眠れません。
預金にいくら置いておくか
それはともかく、預金はそれはそれで必要です。預金の主たる目的は投資ではなく決済のため、送金のため、あるいは場所に関わらず現金に変換するため、等でしょう。
ですから円の預金にお金を置いておくのは当然必要ですね!
私自身は目安として「100万円程度は預金に置いておく」と決めています。100万円以上は預金以外の投資先に回すのを検討するという事です。
「預金は100万円まで」の理由は大体は以下です。
- 私の生活だと100万円あれば何かあっても結構な期間を余裕で暮らせるし、大きな出費が出ても平気でしょ
- 100万円ってキリが良くて覚えやすくてカッコいいじゃん!
「100万円」というのもぴったりではなく、ゆるーく決めています。結構上下に外れてます。「そーねだいたいねー♪」という程度です。
本当にゼロサムゲーム?
さて、ここまでゼロサムゲームの投資を紹介してきた訳ですが、これらは本当にゼロサム、つまりプラスマイナス0のゲームになっているのでしょうか?
実はなってないんですよねー。
しかも話は悪い方向に転がります。
それはまた後日の記事に!