『見ない権利』は全ては認められない

『見ない権利』は全ては認められない

コンビニへのエロ本陳列は禁止すべきだとの主張がありました。

これについて会話した、考えた記事です。

その後、次の件をちょっと追記しました

NHKがノーベル賞の解説記事にキズナアイを起用したら「女性蔑視」とのクレームが出た

前説

コンビニへのエロ本陳列について、時系列で次の様な事がありました。

  • [何年も前の事]コンビニへのエロ本陳列について「子供が誤って取ってしまう」等、色々の理由で抗議が盛んになりました。
  • [何年も前の事]抗議に配慮して、コンビニへのエロ本陳列棚にはゾーニングされるようになりました。具体的には陳列棚を分け「成人向け雑誌」などのPOPが付くようになりました。
  • 最近、コンビニでエロ本をゾーニングしている状態に対しても抗議が出てきました。おおよそは次の通りです「コンビニにエロ本を置くな。『見ない権利』を侵害している。子供の教育にも悪い」
  • 千葉県で一部のコンビニがエロ本の陳列を止めました。これのマスコミへの発表場所に千葉県知事が同席し、コンビニの経営者と千葉県知事がエロ本陳列の停止実現に向けて握手をしました。
  • 表現の自由を訴える方々が、エロ本の陳列停止は表現の自由の侵害であると主張し始めました。

これに対して私が思ったこと

コンビニへのエロ本陳列停止まで求めるのはやりすぎではないか?現在コンビニに置かれているエロ本はそれなりに修正の入ったもののはずである。そのエロ本を陳列するかしないかは商売をする人が、儲かるか儲からないかなどを基準に個別に判断すべき事のように思える。

抗議者は、コンビニへの陳列停止が実現したら今度は抗議対象を本屋にまで広げ「本屋にもエロ本を置くな」とエスカレートするであろう。エロ本をどこまで追い出すつもりであろうか?キリがなさそうだ。

ところで主張に出てくる「見ない権利」というものは初めて聞いたのだがどのようなものであろうか?ツイッターで「見ない権利」を主張する当人に聞いてみよう。

ツイッターでゾーニングを訴える方と会話をはじめました

このように書かれた方がいらっしゃいました。

※※※※さんの「性的なものを見たくない人の権利も保障されるべき」という文言を含むツイートに対して「皮肉でなく本心から、ゾーニング無しに性的なものを見たくない人の権利をどう保障するのか是非知りたいところ」と書いたところ、表現規制反対派の方々から反応がありました。

「見たくない人の権利」に興味ある方でした。どうも「見たくない権利」側っぽく「知りたい」と続けていらっしゃる所をみると会話になりそうだと思ったので(この件、感情的になる方が多かったのです)話を始めてみました。

具体的にはどのような事なのでしょうか?
私の例では「女性自身」という雑誌のタイトルを見ると、このタイトルで連想するものってアレだよねといつも考えてしまっています。
でも、私の見えない所に置けとは言いませんし、求める人がいるのでしょうと思っています。

 

雑誌については私もそんな感じです。
私はこれに先立つツイートで、過剰に性的な画像を投稿しているアカウントはミュートなどしていると書いたのですが、避けたいと思う性的な絵柄は相当に露骨なものに限られています。
そういう感受性にも果てしなくグラデーションが存在しますよね。

 

なるほど。
特に反対もありません。私も、男性向けの画像であろう物でも、これは見たくなかったと言う物は出てきます。
以前のツイートを拝見せずにお伺いするのも失礼なのですが「そこには私は近づきません」(私もそうします)と表明して、何を問題とされてしまっているのですか?

 

問題としているのではなく、関心があるということです。繰り返しますが「ゾーニング無しに性的なものを見たくない人の権利をどう保障するのか是非知りたい」ということです。
ゾーニングは不可欠と思っていましたが、他にもっといいアイデアがあれば教えていただきたいのです。

 

ゾーニングとは今のインターネット上での事でしょうか?
インターネットは国籍も人種も関係なく、全ての人間が平等に(IS等も含んでしまいますが)情報を発信でき、共有できてしまう空間です。そして、そもそも技術的にもゾーニングはできないです(開発当初に考慮していないので欠陥とも言えます)

 

なので今のインターネットを利用するのであれば水際で防ぐ、例えばPCにフィルタリングソフトをインストールする等、しか思いつきません。
特定の人間のグループ(なのでしょうか?)には、この部分("部分"を誰がどの様に判断するのかわからないですが)を見せない等は、多分できないと思います。

 

インターネットは、アメリカの軍(だったと思います)が、「絶対に潰れることがない」を目的の一つとして作成した技術です。その技術を何故かアメリカは全世界に公開し、皆が利用しています。軍が開発したものですので、ゾーニング等はそもそも考慮外と言う事になってしまうと。。。思います。。。

 

本的にゾーニングを実現するならば情報の発信元に制限をかける必要がある様に思います。
その方針であれば、技術的な実装方法を提案してRFCとして受け入れられ(ここで既に無理と思いますが)、それに従ったソフトが全てのOSで開発され、全てのサーバーにインストールされれば実現できそうです。

私は暗に「インターネットでのゾーニングは無理です」と言ってます。

ご教示ありがとうございます。だから現在、規制を考え直すにあたって「情報の発信元に制限をかける」ことが始まっているのかなと思いました。たいへん参考になりました。

そんな意図はなかったのですが「情報の発信元に制限をかける」に納得いただきました。そういえば、こちらの方は作家さんでした。十分に「情報の発信元」ですね。

 

お礼まで頂いたのでここで止めてもよかったのですが、私は当初の疑問「見ない権利」とは結局どのようなものかわかりませんでした。数日考えて、考えた結果を同じ方に勝手に返信しました。(・・・一回かたが付いてるのに笑)

 

「見ない権利」はすべては認めてはいけない、となりました。
例えば私が「ブスは見ると不快になる、子供の美的教育に悪い、だからゾーニングが必須である」等と言ったら間違いなくトンデモナイとなります。

 

これは極端な例でしたが、「ブス」を「相手の生業」に置き換えれば、大抵の人は何か考えてくれるのではないか、と私は思いました。
もし※※さんにお話するならば「#%&小説は表紙だけでも嫌悪感をいだく、子供の教育にもよくない、だからゾーニングしなければならない」等と言われたら、※※さんもそのまま受け入れる訳にはいかないと思います。

 注:※※さんは、とあるジャンルの作家さんであるとプロフィールに書かれてました

ですので「見ない権利」は、全てを認める訳には行かない、というのが私の結論です。

 

さて「全てはダメ」というならば、どこまで認めるかと言うことになりますが、私の結論は(面倒な事に)「時代とともに変わる」です。

例えば「黒人の肌の色は不快感をもよおす、子供も近づけるべきでない、だからゾーニングが必須である」との例にします。

現在ではこれは「人種差別だ」となり全く受け要られません。
ただこれが、奴隷の売買が常識の時代ではどうでしょう。恐らく大多数の人(白人でしょうが)がゾーニングに賛成し、実行するでしょう。(実際にやったのでしょうかね?)

ですので、その時代の常識によってゾーニングが許されるべき範囲、「見ない権利」を行使して良い範囲は変わるのであろうと、私は考えました。

以上が「見ない権利」に対する私の結論です。
私が考えたというだけで、※※さんが別の意見をお持ちでも、それはそれかと思います。

暇だったのですかね、私はもう少し続きまで考えてました。

さて、今まで「見ない権利」の話でしたが、この話はもっと一般化できそうな気もしています。

「人に何かをさせない権利」あたりもマズイのではないかもしれません。
「何かをさせない権利」という言葉よりももっと妥当な言葉がありそうな気がするのですが、今は思いついていません。

ただ、ここらで考えるのに疲れてきたので、私はこの件は一度お終いにしようかと思います。

長々とお騒がせしました。では失礼いたします

ここで力尽きました。

当初の目的「見ない自由」については自分なりに結論を出したので満足しました。人権に興味のある方のどなたか、続きを考えて頂けると嬉しいです。

また、相手の作家さんから「いいね」を頂きました。

結論

私の今の考えは、今は次の通りです。

  • 「不快だ」という理由で他の人に対して制限を加えるのはまずい場合が結構ある
  • 「まずい」の基準は一定ではないので、会話が必要である
  • 大抵の場合は反転して相手にぶつければ結論が出る

なかなか面白い経験でした。

ツイッターでも生産的な会話ができるものだと思いました。

 

ノーベル賞の解説にキズナアイを起用するのは女性蔑視か

以下は『見ない権利』の数か月後の追記です。

NHKがノーベル賞の解説コンテンツを作成し、Vチューバ―のキズナアイを起用しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize2018/

  • これに対してフェミニストが「性的に強調されている。女性蔑視だ」とクレームをつけました。
  • すぐに「女性蔑視ではない」との反論が出て喧々囂々となり、一般的なニュースサイトで取り上げられる程の騒ぎになりました。

私はこんな意見です。

  • これで「女性蔑視」は言いすぎでしょ
  • この件は別ですが「女性蔑視」になる場合もあるでしょう。例えばキズナアイのスカートを1cmずつ短くしていったら、どこかに「これはまずい」とのラインはあるでしょう
  • なので「女性蔑視」との意見を全て認めてはいけないが、全て退けるのもいけない

個人的には、今はフェミニストが排除を求めすぎてる・言いすぎてる例が結構多いと思います

ただ、フェミニストの主張が全部言いすぎな訳ではなく、例えば日本で男女別の年収に結構差があるのは不当と私も思います。2016年に男性の平均は521万円、女性の平均は280万円です。https://venture-finance.jp/archives/3539

そうは言っても「女性の年収が低い分、男性向けコンテンツを制限してバランスを取れ」なんて事にはならないです。

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